研究概要


ナノ空間への光の閉じ込め、すなわち回折限界を超えたスケールで電磁波の局所状態密度を制御することは、ナノ光デバイス実現の鍵です。 ナノスケールに光を拘束することは、単に光デバイスが小型化するだけでなく、物質と光の相互作用を高めることにもなります。 物質と光の相互作用の向上により、エネルギー変換や発光増強、高感度なウイルスや抗体検出、超高速デバイスの応用が拓けます。 このようなナノ光デバイスの開発・開拓には、光の回折限界をはるかに超えた空間分解能で光や電子、表面波準粒子の素励起状態密度 を計測し、構造と直接対応させる解析手法が必要です。一方で、光の波長よりもはるかに小さいスケールで光を測定することは簡単ではありません。


我々は、高速電子を用いることで、光の回折限界を超えた超分解能で「光」を計測します。 電子顕微鏡に代表されるように、高速電子線を用いることで、光では実現できないスケールの超高分解能イメージングが可能です。 光速の10~70%まで加速された高速電子は、ナノメートル分解能の光プローブとしても機能します。 本領域研究は、高速電子線による光計測のトップランナーが各班の代表を務め、量子光計測・カソードルミネセンス・電子エネルギー損失分光を用いて、 エネルギー変換において重要となる運動量計測や、LED等の発光デバイス中のキャリアダイナミクスの理解に必要となる発光寿命計測を行います。 超高分解に加えて、「運動量」「エネルギー」「時間」等の多角的なパラメータを用いて、光機能の発現機構を理解し、ナノ光制御を実現します。



測定装置


時間分解 カソードルミネセンス(電子線励起発光)電子顕微鏡



4次元 カソードルミネセンス(電子線励起発光)電子顕微鏡