研究内容

高機能ナノフォトニック材料
~光閉じ込めによる機能化~
  高誘電体からなるナノフォトニック構造や、金属内の自由電子の集団振動を空間的に制御したプラズモニック材料を用いれば、局所に光のエネルギーを集中させることができ、例えば、高効率な光エネルギー変換材料、高速・高効率発光体、光回路、超高感度でポータブルなセンサーが実現できると考えられています。この技術により、超高速通信や、省電力なポータブル機器、現場での汚染物質の検出、簡便で高感度な病理診断技術の実現が期待されています。当グループでは、自己組織化やリソグラフィーを応用した自由電子の空間制御のみならず、組成や結晶組織など電子のエネルギーやメゾスコピックな組織制御をして、新たな光デバイス材料の開発を目指しています。
  これらの研究は、スペインICFO、神戸大学、スイス連邦工科大学チューリヒ校(スイス)、シャルマース工科大学(スウェーデン)、ヴァイツマン研究所(イスラエル)、九州大学など国内外の研究グループとの共同研究をしながら遂行しています。



光の場を電子で見る
~カソードルミネセンス~
  ナノフォトニック構造は、ナノスケールに光の場を閉じ込めるのが特徴ですが、通常、光の電場を波長(数百nm)より小さいサイズで観察することはできません。当研究室では、電子線を使って光を「可視化」しています。加速電子により励起されたプラズモンを放射光として検出し(カソードルミネセンス)、電子線を走査すれば、光の電場マッピングが1nmスケールで可能になります。自由電子の表面波である表面プラズモンが、あたかも水面を伝わる波のように観察できます。
  上述の光機能材料と同様、国内外の機関と共同研究を行っています。



透過型電子顕微鏡法(TEM)の開発
~材料開発の「目」を創る~
  材料開発において、原子スケールで物質の構造を可視化できる「透過型電子顕微鏡」(TEM)は必要不可欠のツールです。TEMは20世紀初頭に誕生して以来、現在も進化し続けています。当グループでは、TEMを基本とした新技術、新しい応用手法の開発も行っています。この「観る」技術の進歩は、材料開発の進歩そのものであり、ここから新しい科学が生まれます。
  これらの研究開発は、東京工業大学物理学科(大岡山キャンパス)、自然科学研究機構生理学研究所など大学・研究所だけでなく、テラベース株式会社、日本電子株式会社など企業とも共同で行っています。



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装置

透過電子顕微鏡(TEM)/走査型透過電子顕微鏡(STEM)
カソードルミネセンスSTEM、CFEG収差補正TEM/STEM
薄膜作成装置
スパッタ、蒸着
光学測定装置
Vis-NIR分光器、顕微分光器、蛍光顕微鏡、真空中温度可変分光器
表面測定装置
原子間力顕微鏡(AFM)、走査型電子顕微鏡(SEM)
表面改質装置
プラズマクリーナ、UVオゾンクリーナ

その他共同研究先・共用施設で、FE-SEM、ラマン分光装置を使用したりします。

シミュレーション・ソフトウェア開発
電磁場計算(有限要素法(FEM)、Multiple Multipole Program(MMP)、境界要素法(BEM)、FDTD)、第一原理計算、各種自作ソフト(Matlab, C++, VB, Mathematica, Python, etc)